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48. 起終点駅 ターミナル

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48. 起終点駅 ターミナル(2015年日本)

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監督:藤原哲雄
脚本:長谷川康夫
原作:桜木紫乃
音楽:小林武史

鷲田完治(佐藤浩市)
椎名敦子(本田翼)
結城冴子(尾野真千子)
大下一龍(中村獅童)
森山卓士(和田正人)

あらすじ
北海道旭川の地方裁判所判事だった鷲田は、覚せい剤事件の被告となった昔の恋人・冴子と法廷で再会。東京に妻子を置いてきた身でありながら、関係をよみがえらせてしまう。だが、その半年後に彼女を失って深く傷つく。それから25年後、鷲田は判事を辞め、妻子と別れ、釧路で国選弁護専門の弁護士として孤独な日々を送っていた。そんな中、担当することになった事件の被告人・敦子(本田翼)と出会った彼は、彼女に冴子の面影を見る。一方の敦子も鷲田に心を許し……。

 家族のもとを去った男を母娘の位置から描いた「海街 Diary」を思い出した。こちらも矢張り家族のもとを去った男の話なのだが、全く異質な内容だ。しかし、前者は全くその男が描かれていないが、こちらはその男が中心の物語となっている。女に走る男は結構面白く描かれ易いが、男に走る女の物語や映画は少ないように思う。まあ男とはそういうものだという判り易い解釈が一般的なものだから面白く作ることができるというものだ。反対に、男に走る女の物語というのはまだまだ一般には受け入れ難いのかもしれない。

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 映画を観た後、原作者を調べたら直木賞作家という。ああそうだったのか。そういえばラブホテルをテーマにした「ホテルローヤル」で受賞したという上流作家がいたな。彼女か、と思い出した。その時ちょっと興味を持ったが、いつの間にか忘れてしまっていた。映画としてはミステリアスな雰囲気を保ちつつ、女に対する純な男心というか、女に引きずられ易い男をうまく突いて余計な説明をせずに映像にしていて、なかなかうまく出来ていると思った。思わず、彼女のこの映画の原作と直木賞受賞作の両方をAmazonのKindle版で購入してしまった。短編なので1時間ほどで読み終えたのだが、読み進んで行くと映画のシーンをそのまま思い出させてくれるほど原作に忠実であった。ただし、実家に戻った敦子が両親と姪の位牌を持ち帰流ところと完治が息子の結婚式に出るところは真逆の結果にしている。起点という意味では、矢張り原作者の意図の方が説得力があると思える。どちらかというと映画を観る人に媚びた監督なのかもしれないが、原作者の本意ではないと思う。まあ映画の作り方だからそれで良いのかもしれないのだが。

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 興味本位の年寄りは、親子ほど年の違う男女に何が起きるのかと期待したのだが、何も起こらず肩透かしを喰らった。それにしてもこの作者のアイデアは良く出来ていると思った。男を支える天秤座、男の司法試験合格を知って姿を消す、新しい暮らしを始めようと言うと自ら命を絶つ。こんなミステリアスな女に出会ったら、どんな男もダメだろうな。父親の経営するラブホテルで清掃のアルバイトをしたり、ストリップの大ファンだという原作者への興味は尽きない。「ホテルローヤル」は今夜読むことにしよう。

 本田翼という女優、角度によってやけに美人になり、艶めかしくなる。完治でなくとも思い違いしてしまう。ヤクザの獅童、チョンの間の泉谷しげるもなかなか存在感があり、完治を取り巻くキャスティングにも成功していると思う。

  




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